2023.07.04

誰もが幸せな世の中に

これは社会福祉法人 愛知県社会福祉協議会が発行している学童向けの福祉読本

『ともに生きる』に掲載されている障がいのある子の母が書いた文章です。

<誰もが幸せな世の中に>

娘には知的障がいがあります。

見た目は、みなさんと変わらない九歳の女の子ですが、中身は三歳ぐらいです。

人が好きで、道ゆく人誰にでもあいさつをする明るい子です。

これまで何度か電車や飛行機で、怖くてパニックになったことがありました。

娘にとっては、飛行機のゴーという音や、電車のドアが閉まる時の感じがとても恐ろしく感じるようです。

震えながら大きな声で泣きわめき、周囲の人にも迷惑をかけてしまいました。

しかし、必死でなだめようとぎゅーっと抱きしめている私と、泣き叫ぶ娘に必ず誰かが声をかけてくれるのです。

携帯電話で写真を見せてくれたお父さん。

お菓子やジュースを『食べて』と渡してくれたおばあちゃん。

娘に『大丈夫だよ』と声をかけてくれる人。

私に『大丈夫ですか』と声をかけてくれる人。

パニックになっている時はどんな言葉も娘の耳には届かないし、途中で電車を降りたこともありました。

でも、迷惑をかけないようにと必死になっている私にとっては、周りの人が一人でも寄り添ってくれていることがとてもうれしく、涙が出そうでした。

娘も、そんな経験を何度か繰り返していくことで、今では不安な気持ちと戦いながらも、がんばって電車や飛行機に乗れるように

なり、それが本人の自信につながっているのだと感じています。

娘の母になってから、さまざまな障がいのある子に出会いました。

何をしてあげたらその子の助けになるのかはとても難しいです。

でもお母さんたちの中には、周りに迷惑をかけないようにという思いで過ごしている人がたくさんいます。具体的になにかしてほしいわけ

ではありません。

ただ、周囲の理解や、温かい気持ちにはげまされるのです。

世の中にはいろいろな人がいます。世界にはもっといろいろな人がいます。

見た目の違い、言葉の違い、考え方の違い。

自分との『違い』に怖いなと思うこともあるかもしれません。

でも障がいがあるないは関係なく、違う部分を認め合ったり、困っている人がいれば助けたり、助けられたり⋯。

そんな世の中になったら、幸せだなと心から願っています。

(障がいのある子の母)

私自身も障がいのある子供を育てている母として同じ経験をした事がありました。

周りの温かい言葉に救われる一方で、知的障害のある子供本人にはその配慮を理解できず、愛想笑いも、空気を読む行動も、感謝の気持ちを言葉にすることもできず、相手の方に申し訳ない気持ちになることもありました。

この文章の中にあるように私も周囲の理解が必要だと感じます。

そのために私達、障がい者生涯支援機構は周囲の理解を深めるべく、スペシャルニーズとスペシャルニーズサポートの普及活動を実施しています。

一人でも多くの方にこの活動を知っていただき、ご賛同いただけるように頑張りますので、ご支援をお願いいたします。